「おーー、片山。飯いこーぜ」
4時間目の授業が終わり、出しているだけの教科書をしまっていると、いつものメンバーが、いつものごとく、俺を学食へ誘う。
でも、俺はこの所、断ってばかりだ。
それも、これも、三輪の所為。
あんな卑怯な手を使ってくるとはな。くそっ。
「あ、悪ぃ、俺今日も弁当あるんだ」
「最近つれないねぇ、でも、誰に作ってもらってんだ?お前んち、絶対弁当つくってくんねーって言ってたじゃん」
仲間の一人、佐藤が俺の横で、含みのある顔で聞いてくる。
それを興味深げに見守る数人の好奇の目。
だーー、うっとうしいっ。
「そうなんだけど…」
「さては、お前、抜け駆け?」
「ぬ、抜け駆けって」
「恋人できた?とか?」
…出来た。
けど、こいつらに言えるわけねぇだろっ。
俺は、極力顔に出さないように否定してみた。
「いねぇ!!出来てねぇーーって、そんなもんいねぇ」
…顔、出てないよな?
「そんな思いっきり否定して、益々あやしいぃ〜〜」
佐藤は、人差し指で俺の頭を突っつく。
うーー、本気で探っているのか、軽口か、わかんねぇ、こうなったら、誤魔化しとこっ。
「突っつくなっ、えーーい、くらえっ!!俺流らりあっとぉぉ!」
「ぎゃっ、助けてっ…」
佐藤の首に向けて自分の左腕を思いっきり食らわすと、奴は、胡散臭い声をだしながら、両手でガードする。
傍観者を決め込んでいる周りの連中は、「やれーー」だとか、「決まってません、片山決まってないっ〜〜」だとか言いながら持て囃す。そんなこんなで、結局いつものじゃれあいとなった。
はぐらす事が出来た模様。
いや、よかった。うん。
と思いながら、俺が佐藤とじゃれていると、橘に腕を引かれて引っぺがされた。
「何だよ、橘っ、お前も参戦か?」
「違う、なぜだか、三輪がすごい表情で、こっちを見てる。晴貴に用事あるんじゃないか?」
「…えっ?」
恐る恐る、指摘された、前方の教室の扉を見ると、確かに弁当を二つ持って仁王立ちしている三輪が見えた。
……怒ってる?
なんでだ?……あっ!!橘に触られてるからか?
言ってたな…
あぁ、言ってたよ。
『もう二度と、橘さんに触れさせないでくださいね、今度またそんな所見つけたら、俺、どうするか分かりませんよ?』
こ、こえぇぇぇ〜〜
「ちょ、橘。手解け、俺を解放しろっ」
「なんだ?」
「なんでもいいからっ」
橘が、俺の腕を離すのと、三輪がこちらに近づいてくるのと同時だった。
「片山さん。さぁ行きましょう」
そう言って、俺の腕を掴む。
あっけに取られる橘と仲間の顔を見て、腕を振り払おうとしたが、三輪の表情を見て固まった。
その表情は、思い出したくもない、力ずくで俺を奪った、あの時と似た表情だったからだ。
抵抗できない俺は、そのまま、引き摺られるように、教室を後にした。
あれか?
やっぱり、橘か?、、いや、それとも、佐藤か?
どうする俺。どうなる俺。
……どっかのCMみたいに、カードで選べなねぇかな……「逃亡」って。
続く
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